法改正後のよくある指摘事項(住宅:省エネ適合性判定編)第1弾

2025/9/29

いつもご利用ありがとうございます。性能評価センターです。
令和7年4月の法改正により、令和7年4月以降に着工する原則全ての住宅・建築物に省エネ基準適合が義務付けられました。
そこで今回は、法改正後のよくある指摘事項(住宅:省エネ適合性判定編)第1弾として、
①省エネ適判等の手続きについて
計画書の記載内容に関するよくある指摘事項
設計図書に関するよくある指摘事項
④変更があった場合の手続きについて
の4点について紹介いたします。

皆様の業務のお役に立てれば幸いです。
それでは早速説明いたします。

①省エネ適判等の手続きについて

冒頭に記載した通り、令和7年4月以降に着工する、原則全ての住宅・建築物に省エネ基準適合が義務付けられました。
しかし、省エネ適判の手続きは、新3号建築物の場合に限り、申請不要です。
・新3号建築物…平屋かつ200㎡以下の建築物(構造・用途は不問)

その他、住宅に限り、以下の場合は省エネ適判を省略することができます。
・仕様基準に基づき外皮性能及び一次エネルギー消費性能を評価する住宅
・設計住宅性能評価(断熱性能等級4以上・一次エネルギー消費量等級4以上に限る)を受けた住宅の新築
・長期優良住宅建築等計画の認定または長期使用構造等の確認を受けた住宅の新築

上記のいずれにも該当しない場合、確認済証の取得までに省エネ適判を受ける必要があります。

Speedyでご申請する場合、以下の点をご注意ください。
・建物用途を選ぶ際、兼用住宅と併用住宅での取り扱いが異なります。
 兼用住宅は「兼用住宅」を選択、併用住宅は「複合建築物」を選択してください。
・省エネ適判は確認申請とは別の申請です。意匠図一式を省エネ適判の申請にも必ず添付してください。

 

②計画書の記載内容に関するよくある指摘事項

省エネ適判の申請書=計画書の記載内容でよくある指摘事項を紹介いたします。

(1)第一面 「提出者」

提出者は建築主で記載をお願いします。また、建築主が法人の場合、代表者氏名の記載が必要です。
なお、基準法や適合証明(フラット35)、性能評価等と異なり、提出者を委任を受けた設計者(代理者)にすることはできません。

 

(2)第二面 「3.設計者」

代表となる設計者は、意匠図を作成した設計者名を記載してください。
省エネ計算等を意匠図を作成した設計者以外の設計者が行う場合は、「その他設計者」欄に記載してください。
なお、構造設計者など、省エネに関する図書作成を行っていない設計者は、計画書に記載しないようにご注意ください。

 

(3)第二面「5.備考」

窓口・郵送申請でExcelの申請書を作成する場合、建物名称(物件名)を記載してください。
Speedy申請の場合、受付票入力画面の「建築物又は住宅の名称」欄が反映されるため、記載は不要です。

 

(4)第四面「3.建築物の床面積」

・開放部分を除いた部分の床面積
ビルトインガレージ・非開放バルコニーなどを除いた面積として下さい。
省エネ適判では床面積の1/20以上の開口部があると『開放部分』となります。

・開放部分及び共用部分を除いた部分の床面積
共同住宅等・複合建築物の場合は記入してください。
※一戸建て住宅の場合は記入不要です。

 

(5)第四面「4.建築物のエネルギー消費性能」/第五面「住戸のエネルギー消費性能

一戸建ての場合は第四面、共同住宅等または複合建築物の場合は第五面に住戸毎にそれぞれ記載する外皮平均熱貫流率の基準値については、省エネ基準の数値を記入してください。
例)一戸建て:5・6・7地域の場合の基準値は『0.87』
 0.6や0.46など、ZEH水準や断熱等級6相当の数値がい記載されている場合がありますが、省エネ適判の基準値とは異なりますのでご注意ください。

 

(6)『別紙』の提出(住宅部分で仕様規定を用いる場合)

住宅に限り仕様規定を用いることができますが、外皮性能または一次エネルギー消費性能のいずれかを仕様基準を用いる場合、別紙として提出が必要です。
なお、Speedy申請の場合、計画書の入力フォーマットはございませんので、申請書ダウンロードページより計画書をダウンロードし、別紙部を作成、添付してください。
申請書ダウンロードページはこちら

 

③設計図書に関するよくある指摘事項

提出いただく設計図書に関するよくある指摘事項を紹介いたします。

(1)外皮・一次エネルギー消費量などの各種計算書に記名してください

設計図書にはすべて設計者の記名が必要ですが、各種計算書に設計者の記名されていないことがありますので、ご提出前に確認をお願いいたします。
一次エネルギー消費量計算の場合、計算プログラムの入力時に基本情報にある「入力責任者」を記載すると記入漏れを防ぐことができます。
また、外皮計算や求積図などは表紙に記名し、図書名を記載、通し番号などを付していただければ省力化できます。

(2)機器表を作成・添付してください

一次エネルギー計算書に記載する設備について、図面内に記載するよりも機器表として一覧にまとめていただくと、記載忘れや記載の手間を削減することができ、一次エネルギー計算書への入力もまとめて行うことができます。
審査としても確認がよりスムーズにできるためおすすめです。

 

(3)基礎断熱・外気に接する床・ルーフバルコニーの断熱仕様を図面に明示してください

全ての物件に該当部分が無いので矩計図の記載から漏れていることが多いです。
該当部位が無い場合に記載されていても質疑はしませんので、常に記載してください。

 

(4)完了検査時に設置されている設備を設計図書に記載の上、計算に算入してください。

2025年4月の法改正による省エネ基準の適合義務化により、建築基準法の完了検査時に省エネ適合の検査を行います。
省エネ適判で申請された計算書に記載された設備は、完了検査時に設置されている必要があります。
例えば、非居室の照明について、ユニットバス・洗面台などに照明が設置されている場合、省エネ適判の申請時に「設置なし」として計算されていた場合、完了検査時に設置されていると図面の現場の不整合となります。

 

④変更があった場合の手続きについて

省エネ適判で申請した設備等から変更があった場合に必要な変更手続きを紹介いたします。省エネ適判で申請した設計図書と現場の不整合があった場合、完了検査済証が交付されませんので、完了検査の受検前までに行うようにご注意ください。

■ルートA:軽微な変更説明書を提出

省エネ性能を向上させる変更または省エネ性能に影響しないことが明らかな変更の場合の手続きで、省エネ適判の再実施、ならびに計算書の再検討は不要です。
非住宅:建築物の高さ又は外周長の減少、外壁・屋根又は外気に接する床の面積の減少など
住 宅:外皮の各部位の熱貫流率などが増加しない変更、空気調和設備等の効率が低下しない変更など

■ルートB:軽微な変更説明書を提出

一定の範囲内で省エネ性能を低下させる変更の場合の手続きで、ルートA同様、省エネ適判の再実施、ならびに計算書の再検討は不要です。
非住宅:設備種類毎に定められた割合等以下の変更など
住 宅:床面積、外皮について定められた割合等以下の変更など

■ルートC:軽微な変更説明書+軽微変更該当証明書を提出(有料)

再計算により建築物エネルギー消費性能基準に適合することが明らかな変更の場合の手続きで、省エネ適判の再実施は不要ですが、計算書の再検討が必要です。
「用途の変更」「計算方法の変更」(下記の計画変更に該当する場合)を除く、あらゆる変更が該当します。

■省エネ適判計画変更:変更計画書(有料)

「用途の変更(例:事務所から店舗など)」「計算方法の変更(例:標準入力法からモデル建築物法に変更 など)」の場合、省エネ適判の再実施が必要です。

詳しくは建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料p.80~81をご覧ください。

上記(1)~(4)のいずれか手続きを行った後、完了検査申請時に各書類を提出してください。

なお、Speedyからご申請の場合、詳細ページの変更手続きボタンの下にある
「省エネ適判 変更の流れ」をご覧ください。

 

 

住宅の場合、多くはルートA~Cのいずれかに該当することがほとんどですので、変更内容をご確認いただいた上で変更手続きを進めていただくようお願いいたします。特に旧4号建築物から新2号建築物に移行する木造一戸建て住宅等の小規模建築物については、完了検査で全ての建築基準関係規定への適合性を検査することになりました。省エネ適合もそのひとつで、完了検査済証の交付を受けた後でなければ、建物が使用できませんので、スムーズな手続きを行うためにも事前にご確認、ならびに手続きをお願いいたします。

以上が法改正後に開始しました、住宅の省エネ適判に関してよくある指摘事項、ならびにご注意いただきたい内容になります。
省エネ適判のご申請を行う前に、ならびに完了検査のご申請を行う前に、ぜひ一度ご確認いただいたくことで、少しでも効率が上がればと思います。
現場で差がつく!実務ヒント集にて「建築物省エネ法制度に関するお役立ちリンク集」を掲載中ですので、あわせてご覧ください。
今後も皆さまのお役に立てる情報を発信してまいります。
それでは次回もよろしくお願いいたします。

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